綾川くんが君臨する
概要7. 彼女は要らない
✩⌢᷇


あれから一週間、綾川くんが放送室に押しかけてくることはなくなった。

それどころか目すら合わない。


わたしが当番のときは毎回居座るほど放送室が好きだったくせに、ずいぶんとあっけない。

まあ、“最悪な女”とふたりきりになってまでそこに居たいとは思わないよね……。


お昼休み、トイレから戻る廊下でそんなことを考えながらスマホを開いた。


【 大丈夫? 私のせいでごめんね。】

綾川くんとのトーク画面はわたしからのメッセージで終わってる。

しっかり既読だけついてるのが妙にかなしい。


しかもこの日の綾川くん、風邪って理由で学校を休んだくせに、C区の並木坂で女の人と一緒にいた……。

頭の中にあのときの光景がもわっと浮かんだ、そのとき。


突然、足元がつるりと滑って体が大きく前のめった。

「ひゃ……?」

やばいと思ったときはもう遅くて、そのままドテ!と派手に転んでしまう。


……痛……。思いっきり膝打った……。

でも、よかった。
幸い、周りにひと気はなさそう……。


と、安堵したタイミングで現れるのが、綾川くん、だったりする。
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