綾川くんが君臨する
「だ、大丈夫! 見た目はこんなんだけど、じつはびっくりするくらい痛みはなくて!」
そう言って、わたしは勢いよく立ち上がった。
ズキ!と強烈な痛みが走るけど、がまん。
痛くないという言葉に説得力をもたせるべく、地団駄を踏むようにして激しく3歩、4歩、歩いてみせる。
痛い、どころじゃない。
衝撃が脳天まで突き抜けてきて、このまま体が裂けるんじゃないかと思う。
「ね、ほら、この通り!」
「あはは、わかったよ、もう。ほんとに大丈夫そうだね。じゃあ黒鐘さん、また明日」
地団駄を踏んだ甲斐あって、風間くんは納得し、手を振って去っていく。
すると教室にいた人たちも一気に興味を失ったらしく、皆ぞろぞろと帰っていった。
「も〜、さあたん、なんともないなら早く言ってよね。じゃあリカ担当のとこ行くから」
リカちゃんも呆れたため息とともに背を向けて。
それを見送ったわたしは──あまりの激痛によって、その場に立った状態から動けなくなっていた。
そして、そんなわたしを教室の隅から見つめる男の子が、ひとり。