急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!
病めるときも健やかなるときも…

◇◇◇◇

「話がある」

亜里砂が大也に呼び出されたのは、池澤と遭遇した日の翌日の夜だった。

いつもの執務室かと思いきや、場所はベリーモールの屋上庭園。

お見合いを二つこなした後なので、時刻はもう22時をとっくに過ぎている。

屋上庭園は普段22時ジャストにライトアップが終了する筈だが、何故か今夜はまだ照明が落とされず、ほかに人気もない。

急なことだったが、昨日の大也と池澤の話し合いが、どうなったのか知りたかった亜里砂は、大也の呼び出しに二つ返事で応じた。

亜里砂は、大也に指定された場所…ライトアップされる日本庭園が、一番綺麗に見える東屋のベンチにそっと腰を下ろす。

「あー、寒っ!」

すっかり秋も深まり、昼は暖かいが夜になると急に冷えこむ。もう冬がすぐそこだ。

この屋上庭園では、月一程度でベリーマリアージュサービスが昼間、数時間貸し切り、お見合いイベントパーティーを開催するのだが、ライトアップされるこの時期だけは、平日19時からの開催としている。

日本で屈指の有名ライトアップ職人が手がけているだけあり、雑誌やメディアで頻繁に紹介されるデートスポットで、『恋人たちの聖地』と呼ばれるここを貸切にしたお見合いパーティーは、ベリーマリアージュサービスが手がけるお見合いパーティーの中でも一番の人気で、告知するとすぐに申し込みが殺到し、すぐにチケットが売り切れてしまう。

実際に、ライトアップ効果でムード満点なためか、昼間に開催するパーティーより、明らかにカップル成立率が高い。

< 162 / 217 >

この作品をシェア

pagetop