急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!
「ちゃんとついて歩きますから!手を離して下さい!」

「あぁ…悪い」

下りのエレベーターに乗りこみ、ようやく男は亜里砂から手を離した。

(いたた…。馬鹿力で思い切り引っ張るから、赤くなっちゃったじゃない…)

亜里砂は赤くなった手首をさすりながら、壁に凭れてキラキラ輝く高級腕時計で時間を確かめているSSS級の男の顔を、伊達眼鏡越しにそっと盗み見る。

(やっぱり…この男…ベリーの若様だ…)


『ベリーの若様』こと『一護大也(イチゴダイヤ)』


江戸時代の伝説の商人『一護金満(イチゴカネミツ)』

金満と、その子孫達が興し…盛り立てた、社会科の教科書にも載っている…旧財閥…『一護』。
莫大な資産を有し、世界的な複合企業をいくつも運営しながら、常に新規事業展開を続ける『一護』が所有する、ここベリーヒルズビレッジ。

ベリータワーのオフィスゾーン、ホテルゾーンや、57階の展望台より更に上。
最上階の58、59、60階フロアに…二年前のベリーヒルズビレッジの開業とともに、『一護』の本社から、経営企画本部と一部の部署が越してきたのは周知の事実である。
『一護』の幹部社員は、常に専用の直通エレベーターを利用し、その他一般の下々の階の者が、普段その姿を見る事は滅多に無い。
タワー展望台の上にオフィスを構える彼らは、まさに雲上人なのだ。

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