急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!
山藤が出ていき、部屋に一人残された亜里砂は、所在なげに俯いた。
いつもの仕事用の格好でないため、どうにも落ち着かない。

「本当に…見事に化けていたんだな…。昨日のと…今のお前…同じ人間とは思えないよ」

大也の感心したような声を聞いて、亜里砂はハッと顔を上げた。
昨夜とは違う色の上質なスーツを身に纏った、端正な顔のSSS男が、亜里砂をじっと見つめている。

「昨夜は…どうも…」

美幸も愛想笑いは要らぬと言っていたし、昨日のことがあるので、亜里砂は目を細めて素っ気なく挨拶をした。

「まあ、座れ…いや…座ってくれ…」

大也が素早く言い直して、こっそり顔色を伺うように見たのに亜里砂は気づかず、言われた通り応接セットのソファーに、背筋を伸ばして浅く腰掛けた。

大也は執務机からゆっくり立ち上がると、向かいのソファーに深く座って長い足を優雅に組み、しげしげと亜里砂の顔を眺める。
(う〜ー気まずい!目が合わせられない…)


程なくして山藤が、重苦しい空気が流れる中、紅茶を出して退がっていった。

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