翠玉の監察医 弱者と強者
「神楽さん、せっかく会えたんですしどこかでお茶でもしてきませんか?」

圭介に誘われ、蘭は「お茶、ですか?」と呟く。世界法医学研究所の他の監察医のみんなとカフェに立ち寄ることはあったが二人きりで行くのは初めてだ。

「いいカフェ見つけたんですよ」

圭介は微笑み、蘭の手を取る。蘭は圭介に連れられて図書館を後にした。



蘭が圭介に連れられたのは、図書館から十五分ほどで着く小さなカフェだった。木造の建物で可愛らしいウェルカムボードが入り口の近くに置かれている。

「シフォンケーキがおいしいんですよ!」

圭介はそう言い、カフェのドアを開ける。チリンとベルが鳴った。蘭は「ありがとうございます」と圭介に頭を下げてカフェの中に入る。

カフェの中は外と同じく木造のインテリアが多く置かれ、温かい雰囲気になっている。カフェの中ではゆったりとコーヒーやケーキを楽しむ人が何人かいた。

「いらっしゃいませ。二名様ですか?」
< 2 / 32 >

この作品をシェア

pagetop