この声で、キミに「好き」と伝えたい。
あたしがいつもより遅く帰ってきていることにも気づいていない。


…思えば、美歌だって夜遊びを繰り返していたけど、ママはあたしのレッスンに必死で、美歌のことは知らんぷりだった。


それが、今では美歌と逆の立場。

ママに相手にされないのがこんなにも寂しいものかと思う反面、そのおかげでこうして未練なく家出をすることができる。


あたしは、膨れ上がったバッグを肩にかけると、静まり返った夜の家をそっと出たのだった。
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