ご縁婚 お見合い結婚のはずですが、溺愛されています?
どちらかというと、お式の準備は内輪向けのため招待客の人数も少ないので準備は早めに終わった。
問題は会社関係者向けの披露宴のほうで……。
どんなに人数を絞っても五百人規模になってしまうとの報告を聞いたとき、私はちょっと遠い目になった。
しかし、日本を代表する航空会社の役員の結婚披露なのだから仕方ないと前向きに準備をした。
そこに、伯父の病院関係者もとなって結局は会場は八百人規模の大広間を貸し切っての披露宴となった。
こうなるともう、本人たちの意見などより会社のイベントとなり雅貴さんの会社の広報や秘書課と桜木総合病院の事務長などで参加者の席次や祝辞のあいさつの順番などを決めてもらった。
引き出物なども準備を任せ、自分たちの衣装くらいしか決めるものは残らなかった。
あと、私がそこにお願いしたのは会場の装花だった。
少しでも皆さんが過ごしやすいように、華やかでありながらも落ち着きのある雰囲気でとお願いした。
イメージのラフはとても良くて、それでお願いすることにした。
こうして準備に明け暮れた二か月。
お式を三日後に控えた大晦日。
雅貴さんとのお部屋の大掃除も無事に終わった。
明日は、両家に新年のあいさつに向かいそのまま初詣に行こうと計画している。
昨日のうちに、両家への手土産も用意し準備はできている。
「普段から茉奈花が掃除してくれてるから、そこまで大掛かりにならなくて済んだね。いつもありがとう」
そんな言葉とともに、雅貴さんはお茶を入れてくれていた。
「雅貴さんこそ、昨日までお仕事だったから休みたかったでしょう? それなのに手伝わせちゃって……」
私の言葉に雅貴さんは、私を見つめて言う。
「確かに仕事は忙しいし、責任もあるけれど。家のことは出来るときには茉奈花と一緒にしたいと思うよ。だって、夫婦で家族なんだから。家のことは二人でだろう?」
雅貴さんの言葉は、私にとっての理想の家族像。家庭像だった。
自分の実の父や母、伯父や伯母のように互いを思いやり慈しみ、ともに生きていく。
それが雅貴さんとの間にしっかり見えた瞬間となった。