ご縁婚  お見合い結婚のはずですが、溺愛されています?
お式当日。

朝七時に会場入りした私は、お昼前の結婚式直前。
すっかり綺麗な花嫁として控え室にスタンバイ。

伯父一家とは別れて、一息ついてるところに雅貴さんとご両親が来てくれた。

「茉奈花、すごく綺麗だよ」

入ってくるなり、私にそう告げる雅貴さんはグレーのフロックコートが綺麗に決まっている。

「雅貴さんも、とっても似合ってるわ」

私の言葉に雅貴は少し嬉しそうにしつつも、私のドレスを見て言う。

「やはり、お義母さんのドレスにしてよかったな。茉奈花によく似合ってるから」

雅貴さんの言葉にご両親も頷いてくれた。

「茉奈花さんの清楚な雰囲気にピッタリのドレスに仕上がってるわね。以前1度見せていただいた茉奈花さんのお母様によく似ているわ」

義母のその言葉に雅貴さんは更に続けた。
「茉奈花のご両親のお式の写真があってね。その写真の義母様に茉奈花はよく似ているよ」

年末の掃除の後、新年に式を控えた私は久しぶりに両親のアルバムを出しお式の2人を雅貴さんと見たのだ。

少し手は入れたので雰囲気は変わるものの形は変わらないドレスを着た私は確かに、その写真の頃の母によく似ていた。

「伯父さんもね、お母さんそっくりだって」

私の言葉に雅貴さんも頷きしばしここではお別れ。

もうじきお迎えが来てチャペルに向かうので、雅貴さん達には先に行ってもらう。


一人控え室で鏡の前に立ち、私は母に似た自分の顔を眺めて呟いた。

「お母さん、私あの時お母さん達が助けた男の子と幸せになるよ。見守っててね」

迎えに来てくれたスタッフさんに導かれ、チャペルの前で伯父さんと並んで待つ。

「あぁ、とうとうこの日が来たね。茉奈花、めいっぱい幸せになるんだよ」

ベールの奥で私は伯父の言葉に一粒の涙を流しつつ頷いて答えたのだった。
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