過保護な君の言うとおり


 学校でのいじめ、家庭の崩壊、みなしご。



一生分の不運が怒涛として私を海底へと引き摺り込んだ。



その反動というべきか、もがき反抗した結果、いつの間にかこんなふうになっていた。


人格が歪んでると言うべきか。



自分が人とずれていることは理解しているつもりだ。



でも、自分ではチューニングができない。それがまた私の首を絞める。




 私はよく考えてしまう。自身にメリットがなければ人は見向きもしないのでは無いか、と。


逆にメリットさえあれば親戚も私を引き取っただろう。


 人間は自分のエゴを守り続けて、それ自体に価値があると思い込む。





そして、自己のエゴに他人を巻き込むのだ。





なにが気に食わないって、その負のサイクルに私も含まれていることだ。




つくづく嫌気がさす。



「なんでこうなったんだ……」



 誰もいない病室に私の嘲笑う声がこだました。




──やはり無償の優しさなんてものは、あるわけないだろう。


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