北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
「凛乃がいなくて退屈だったから。へん?」
「ちょっと直したい」
「直して」
 累の顔が近づいてきて、凛乃は目を閉じた。
 タイミングを見計らったように、ガラス戸をカリカリと引っ掻く音が聞こえる。
 直訴が効いて、気を使っていてくれたのかもしれない。
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