北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
 スフィンクスポーズで空間を睨む凛乃の腰と胸に、累の腕が回りこんできた。首筋に触れた口唇が、やわらかく吸いつく。
「つるにこが……戻って来るかも」
 冷めたと思った息が、すぐに熱くなってくる。
「また寝てるよ」
「そうかな」
「炊飯器の横、あったかいから」
 寒くなってから見かけるようになったその姿を思い出していると、上衣の裾と腰のゴムの隙間から滑りこんでくる手が、最短距離で目的地に到達した。
「あ」
 そのまま身を任せそうになって、なけなしの理性が頬を叩く。
「だ、め、つるにこに、見られる」
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