北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
 あれっ、今日、
「燃えるゴミの日!?」
 タオルケットを跳ね飛ばして起き上がった凛乃の背後で、累が吹き出した。
「今日は日曜日だよ」
「あ、そうか、そうでし……た」
 エアコンのひんやりした風が通って、はたと思い出す。
 いまだ一糸まとわぬ状態だということを。
 あわててタオルケットをかきよせ、肩越しに累を恨めしく見上げた。
「どおして累さんだけ服着てるんですか」
「明け方に、つるにこに呼ばれて、ごはんあげに行ったときに」
 ゆうべはおなじ格好をしていた累なのに、その身体には、だるんだるんにくたびれきった黒のスポーツTシャツとコットンのバミューダパンツがくっついている。
 ぷいとそっぽを向いた凛乃の身体を、累の両腕が抱きしめた。
「ごめん」
 肩甲骨のあいだに、ちくっと痛みが走る。痕のうえを、癒すように舌が撫でた。
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