北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
 角度や深さが変わり、それに全身で応えるたびに、パイプベッドが軋む。
 残る下着に指を入れようとした累とのあいだに、凛乃は手を差し込んだ。
「ん、待ってください。アレ、あっちの部屋、です」
 累が一瞬止まったあと、がばっと起き上がった。
「取ってくる」
「あ、わたしが行きま」
 言いかけて口を閉じる。
 脱げかけの下着姿だというのに、まだ家政婦グセが抜けない。
 そんな凛乃の反省を見透かして、累が眉を寄せて苦笑した。
「抜けないね、敬語」
「自覚についてきてないんです、言葉」
 家政婦はきっぱり辞めたつもり、そんな制約を超えた関係に累となった自覚はあったはずなのに。
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