独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む
「梨々香さん……」

彼女の姿を捉えた瞬間に鼓動が音を立てて速くなる。
今まで須和の彼女と思い込んでいた女性だ、無理もない。

梨々香は以前会った時と変わらず、小奇麗な身なりで優雅に微笑んでいた。

「こんな朝早くに、あなたがなんでこの建物にいらっしゃるの?」

「えっと……柾さんのお家にお邪魔してたので」

「……っ」

梨々香は葵の顔をギロリと睨みつけた後、明らかに不快感を示す表情を浮かべる。

「ああ、遊んであげたのね。あなたみたいな恋愛の一つもしたことがないような子が珍しかっただけよ。どうせ柾のことだから、さっさと捨てられるのがオチだわ」

梨々香の心無い言葉の数々に、ギリギリと心臓が痛む。

「……あの、柾さんのことそんな風に悪く言わないでください。彼はちゃんと私のことを大切にしてくれていますから」

心臓が口から出るのではないかと思うくらい緊張したけれど、葵は黙っていられなくて言葉を繋いだ。

「なんなの、あんた。あんたが柾の何を知ってるっていうのよ」

梨々香は怒り任せに、手に持っていたハンドバックを葵に投げつける。
バックについていた金属のキーホルダーが葵の頬を強打した。

「……っ!!」

「あんたに良いことを教えてあげるわ。柾は女を何とも思わない、物のように扱う男よ」

「!?」

「私だってその一人。せいぜい身も心も滅ぼされないように気をつけることね」
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