独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む
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葵がシンガポールに行ってから、二人は毎日電話やメッセージでやり取りを行っていた。


『ぐすっ……全然、私の言っている意図が伝わらなくて……』

「うん」


須和が思った通り、葵はよく電話の向こうで泣いた。

出店が決まって一年間は日本で英語を学んだとはいえ、言葉の壁は厚い。
中々スタッフとも打ち解けられないでいるようだった。

でも……。

『私、頑張りますね。早く一人前になりたいから』

葵は電話の最後には必ずそう言った。

続きの言葉こそ言わないが“須和と結婚するために頑張る”という意味なのは、須和自身ひしひしと感じていた。

(葵は健気で本当に可愛い。今すぐ抱きしめたいよ)

彼女は日本にいる時と変わらず、どこか儚くて庇護欲をくすぐってくる。

(葵には頑張って欲しい。けど、そのままでもいい気がしてる)

最低だと須和自身分かっていたが、どうしてもその思いを断ち切ることはできない。

(僕だけを頼っていればいいよ。ずっと……)
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