独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む
葵が由紀子の面会に行くのは決まって平日の水曜日、午後一時だった。
須和もあらかじめ由紀子に見舞いに行く連絡を取っていたのだろう。
まさか由紀子が、須和に時間を指定していたとは思いもよらなかった。

「僕も甘えるのが下手だったから……葵ちゃんの気持ちがよく分かるよ」

「……っ」

須和は葵に告げると、ギュッと手を握る。
見上げると彼は穏やかな笑みを浮かべていた。

「……もう遅い時間だし、おじさんが心配するから行こう」

「はい……」

須和と一緒に並んで歩き始める。
彼の見えなかった一面を垣間見て、葵の心はどこかすっきりしていた。

(須和さんは本当に優しい人……今日一緒に過ごしてすごく力を貰えた気がする)
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