傷つき屋
僕は驚いて、禍々しいそれを手で払いのけようとしましたが、体が動きません。
ダイジからこれを剥がし取らないと。直観的にそう思ったんです。
ぐぐ、と力を込めて意識を集中させると、それはこっちに引き寄せられて、僕の元へ入って来ました。
「この役立たず」
耳元ではっきりと誰かがそう言いました。
「チームに迷惑をかけているのが分からないのか。お前なんか、もう練習に来なくていい」
男の人の野太い声。
途端に、心の中がざわざわと荒れて、思わず僕は自分の胸を両手で押さえました。
喉が細くなる。息がしづらい。
どろどろと粘度を持った黒いかたまりが、僕の全身に広がるように体が重くなりました。