エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
 貴利くんのキスが、腰が砕けてしまうほどめちゃくちゃ凄かったわけでもないのに。

 ただちょっと唇に軽く触れただけの普通のキス。

 それならかけるの方がいつももっと凄いキスをしてきた……って、私はまた何を余計なことを思い出しているんだ。

 もう何も考えちゃダメ! と、自分に言い聞かせながら頭をぶんぶんと大きく振った。


「どうしたの千菜ちゃん?」


 そんな私を不思議そうに見ている三雲先生と目が合って、「すみません」と私は頭を下げた。

 深呼吸をしながら気持ちを落ち着けていると、三雲先生が顎に手を添えて唸り出す。


「うーん。千菜ちゃんとケンカしたわけじゃないなら、郡司は何をそんなに落ち込んでいるんだろう」


 気になるなぁと呟く三雲先生。

 確かに、私も気になる。感情表現があまり豊かではなく、他人に自分の感情を読み取らせないあの貴利くんが、三雲先生に心配させるほどわかりやすく気落ちした様子を見せているなんて。何かよっぽどのことがあったに違いない。

 私とケンカはしていない。そもそも私とケンカしたくらいで貴利くんは気にしないと思う。それだと何か別な理由があるはずだ。

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