エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~

「あのときはごめんね。私、貴利くんのこと誤解していたから」

「誤解?」

「えっと……おばあちゃんが亡くなったとき、部屋で泣いていた私に貴利くん言ったでしょ。いつまで泣いてるんだ。人はいつか死ぬんだって。そのとき、貴利くんがめちゃくちゃ心の冷たい人に思えて、それでちょっと苦手になった」


 ちょっと苦手どころか大嫌いになったのだけど、そのへんはオブラートに包んで打ち明けた。

 すると、貴利くんはすぐに理解したのか「すまなかった」と静かに呟く。


「やっぱり俺のあの言葉が千菜を傷つけていたのか。まだ高校生だった千菜には酷な言葉だったな」

「そうだね。さらに傷ついた」

「すまない」

「もういいよ。もう大丈夫。貴利くんは、心の冷たい人じゃないってちゃんとわかったから」


 あの日、港町総合病院の屋上で涙を流す貴利くんを見たときから私の貴利くんへの気持ちは変わった。貴利くんは心の冷たい人なんかじゃない。

 不愛想で、口数が少なくて、初対面の人からはこわがられてしまうような人だけど、本当は誰よりも心が優しい人。不器用だからそれをうまく表現できないだけなんだ。

 九年前のあの日も、貴利くんなりに私を励まそうとしてくれていたのだと今なら理解できる。

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