エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
 貴利くんはしばらく口を硬く結んで天井を見つめていたけれど、やがてポツリと言葉をこぼす。


「相手のために何かをしたいと思う。それはもう愛だ。と、父に言われた」

「ごめん。意味がよくわからない」


 ますます意味不明な返事がきてしまった。私は、「もういいです」と呟いて、それ以上聞くのはやめた。

 それに、好きになったきっかけを具体的に話されるのも恥ずかしいかもしれない。この話はもうやめよう。

 貴利くんは私が好き。私も貴利くんが好き。それでいいじゃないか。


「千菜の方はどうなんだ」


 貴利くんは仰向けに寝転がっていた身体を横に向けると、左手で頭を支えながら隣に寝転ぶ私を見つめる。どうやら彼の方はまだこの話を続ける気でいるらしい。


「いつから俺を好きになった。確かお前は俺が嫌いだっただろ」

「えっ」

「みなとみらいのホテルのラウンジで久しぶりに顔を会わせたときにはっきりとそう言われたからな」


 気にしていないと思っていたけど、もしかして気にしていたのかな。そうだとしたら悪いことをしてしまった。と、両想いになった今だからこそ思う。

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