エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望～独占欲全開で娶られました～

　そもそも私はつい三日前、この男に面と向かって『好きじゃない』と告げたばかりだ。

　つまり、私は彼に嫌いだとはっきりと告げたのに、こうしてまた私を訪ねて結婚の話をしているのだから、貴利くんのハートはどんだけ強いんだ。

　私なら嫌いと言われた相手とはできれば顔を合わせたくない。でも、貴利くんはそんなことまったく気にならないらしい。そんな鋼のような強靭なハートを持つ彼をほんの少しだけ羨ましいと思ってしまった。

　けれど、結婚はしたくない。なんとしても回避したいと思っているものの打開策は見つかっていない。

　玉蔵の話によると結婚は今すぐにというわけではないらしい。久しぶりに顔を合わせたわけだから、まずはお互いの仲をしっかりと深めなさいと言われたけれどとんでもない。貴利くんとなんて無理だ。

　だから、なんとしてもこの結婚を白紙に戻したいと思っているものの、予想外に貴利くんがひとりで突っ走っているから困ってしまう。

　結婚情報雑誌なんてものを手に入れて私に見せてくるのだからその決意は相当なものだ。