エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~

「千菜ちゃんのおばあさんのような脳の病気の患者を助けて、千菜ちゃんみたいに大切な家族を脳の病気で亡くして悲しむ人を救いたいんだってさ。ね? 群司っていろんなことを深く考えているようで、案外単純だろ」


 そう言って、三雲先生は静かに微笑む。

 本当だ。貴利くんは単純だ。

 私なんかのためにお父さんと揉めてまで脳神経外科を選ぶなんて、そんなことしても貴利くんのためにはならないのに。



『相手のために何かをしたいと思う。それはもう愛だ。と、父に言われた』



 いつだったか貴利くんに私を好きになったきっかけを聞いたときがあった。そのときの貴利くんの答えが少しも理解できなかったけど、それも今ならわかる気がする。


「千菜ちゃんは群司にたっぷりと愛されているよ」


 三雲先生の言葉にじわっと涙がたまっていく。視界がぼやけてよく見えないから、ごしごしと手で目元をこすった。

 そんな私に三雲先生がハンカチを差し出してくれる。ありがとうございますと受け取ると、まだまだ溢れて止まりそうにない涙をそっと拭き取った。

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