エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望～独占欲全開で娶られました～

　うじうじと落ち込んで悩んでいても仕方がないし私らしくない。


「私、行ってくる。貴利くんとしっかり話をする」

「ああ。そうしなさい」


　玉蔵が力強く頷いてくれる。そんな彼に、私は貴利くんのマンションの住所が書かれたメモを返した。


「でも、これはいらない。私、貴利くんのマンション知ってるから」


　もう何度も行ったからしっかりと道は覚えている。玉蔵にそう告げると、彼の表情がみるみる凍りついていくのがわかった。


「何度も行ったのか。泊まりか？　泊まったのか千菜ちゃん!?」

「えっ」


　玉蔵の両手が私の肩をがっしりと掴み、ぐらぐらと揺らしてくる。


「答えなさい千菜ちゃん。入籍もまだなのに貴利くんのマンションに泊まったりして……つまり、パパの可愛い千菜ちゃんはもう身も心も貴利くんのものになってしまったということか!?」

「玉蔵……」


　何が言いたいのかをなんとなく理解した私は、玉蔵に呆れた視線を向けてしまう。


「あのさ、私ももう二十六だからね。そんなこといちいち気にしないでもらえるかな」

「いいや、それでもパパはショックだ」


　そう言われても……。