エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
 私も貴利くんももう大人なんだから、付き合っていれば自然と身体を重ねる関係にもなってしまうわけで。


「貴利くんは紳士だと信じたいたのに。結婚前に千菜ちゃんに手を出すとは……。よしっ。こうなったらパパもやっぱり一緒に行こう。貴利くんにはガツンと言ってやらないと」

「ちょ、ちょっと玉蔵、落ち着いて」


 そのあと、ぷりぷりと怒り出して家を飛び出していこうとする玉蔵をなんとかなだめるのに一時間はかかってしまった。

 渋々とした様子で仕事に向かうため家を出ていく玉蔵を見送った私は、さっそく貴利くんの家に向かう準備を始めた。


 *


 夜の七時。

 マンション三階にある貴利くんの部屋の前で深呼吸を繰り返す。何度か来たことがあるけど、こんなに緊張するのは初めてだ。

 追い返されてしまったらどうしよう。そんな不安を抱えつつ、震える指で呼び鈴を鳴らす。

 けれど、待っても扉が開く気配がない。もう一度鳴らしてみるものの、やっぱり扉は開かなかった。

 まだ仕事をしているのだろうか。

 でも、玉蔵と会う約束をしていたならこの時間は家にいるはず。

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