エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
 貴利くんがアメリカから戻ってくるまで、私は日本で待っている。そう決めたのだから、寂しいと言って泣いたりしたらだめだ。

 必死に涙をこらえようとすればするほど、視界がぼやけて瞳に涙がたまっていく。

 私はくるんと窓に背中を向けると、すぐ後ろに立つ貴利くんの胸に飛び込んだ。背中に両手を回してぎゅっとしがみつくと、貴利くんの腕も私に回り強く抱き締め返される。


「向こうで医者として今よりも腕を磨いて戻ってくる。それまで寂しい思いをさせてしまうかもしれないが待っていてほしい」


 私のために別れを選んだ貴利くんに待っていると告げたのは私だ。そう決めたんだから、めそめそと泣いていたらいけない。


「……うん」


 貴利くんの腕の中で私は頷いた。すると、貴利くんが私の身体をそっと離す。


「千菜。少し目を閉じていてくれるか」

「え?……うん」


 突然どうしたんだろうと不思議に思いながら、言われた通りに目を閉じる。

 しばらくすると「もういいぞ」と貴利くんの声が聞こえて、私はゆっくりと目を開いた。

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