エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望～独占欲全開で娶られました～

　すると、目の前には背筋を伸ばして片膝をつく貴利くんの姿がある。その手には小さな箱があり、彼の瞳がまっすぐに私を見つめている。

　その姿はまるで、おとぎ話に出てくる王子様が最愛の女性に愛を誓うときのポーズと似ていて……。


「千菜。俺と結婚してください」


　そう告げた貴利くんが小さな箱をゆっくりと開けた。現れたのは、キラキラと輝くダイヤモンドが一粒留まった指輪だ。

　それを見た瞬間、私は思わず片手で口元を覆った。瞳からはぽろぽろと涙がこぼれてくる。

　まさかプロポーズをしてもらえるとは思っていなかった。


「受け取ってくれるか？」


　少し不安そうに貴利くんが私を見ている。そんな彼に私は大きく頷いた。


「もちろん。よろしくお願いします」


　泣きながら震える声で告げると、貴利くんが優しく頬笑む。すっと立ち上がると、私の左手を取って薬指に指輪を嵌めてくれた。


「ピッタリだね」


　指輪がよく見えるように手の甲を貴利くんに向ければ、彼は満足そうに頷いた。