エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~

「ずいぶん前から用意していたんだが、渡すのが遅れてしまった。サイズは玉蔵さんに教えてもらったんだ」

「玉蔵に?」


 どうして私の指のサイズを知っているのか不思議に思ったけど、たぶん玉蔵が母に聞いたのだろう。そういえば前に母とはそんな会話をした覚えがある。


「千菜との結婚を諦めたときこの指輪は捨てようと思った。でも、こうして渡せる日がきてよかった。思った通り、その指輪は千菜によく似合う」

「ありがとう」


 私は改めて自分の左手薬指の指輪を見つめる。一粒ダイヤのシンプルな指輪。嬉しくて、角度を変えては何度も見てしまう。


「なんだか貴利くんらしくないキザなプロポーズだったね」


 ひざまずくプロポーズなんて、堅物の貴利くんにはなさそうな発想だ。

 どうやって思い付いたのかを不思議に思いながら薬指の指輪から視線を貴利くんに向ければ、彼は真面目な顔で答えた。


「三雲にそれがプロポーズの定番だと言われた。みんなやっているものだと」

「えっ……」


 確かにそういうプロポーズの仕方もあるけどみんながやっているわけじゃないし、日本では定番になっていないと思う。

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