エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
 普段は物静かな印象が強い麻宮さんが三雲に対して大きな声を張り上げている。

 それに、さっきの三雲の言葉が気になる。『俺と沙紀ちゃんの仲』とはどういうことだ。俺の知らない間で、ふたりはどんな仲になっているんだ。


「……もしかして付き合っているのか。だが三雲。お前には彼女がいるはずだろ」


 確か三雲の彼女は病院関係者ではないはずだ。そうなると、こいつは懲りずにまた二股をかけているのか。しかも相手は俺と同じ病棟の看護師の麻宮さん。これは放ってはおけない。


「ほら、三雲先生。真面目な郡司先生が誤解するので適当なことを言うのはやめてください」

「郡司に俺と付き合っていると思われたくないなんて、やっぱり沙紀ちゃんは郡司のことが好――」

「違います。やめてください」


 俺を抜けものにして三雲と麻宮さんが何やら言い合いを続けている。その様子を黙って見守りながら、とりあえずこのふたりが付き合っていないことは分かって安心した。

 俺は言い合いを続けているふたりのそばから静かに離れると、足早に高松先生のもとへと向かった。



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