エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
 館長のことは嫌いじゃない。むしろ、子供の頃からの憧れである司書として私をこの図書館に採用してくれた恩人である。本のことも詳しいし、職員にも優しい素敵な館長だ。

 それなら、どうしてお見舞いへ行くのをこんなにも渋っているのかというと、館長の入院先に問題がある。

 この辺りの基幹病院といえば港町総合病院で、館長はそこに入院している。つまり、貴利くんの勤務先にこれから私はお見舞いで訪れなければならなくて、もしかすると彼と遭遇してしまうかもしれないのだ。

 貴利くんが我が家を訪れて、結婚情報雑誌と婚姻届を置いていってから今日で二週間。

 仕事が忙しいのかしばらく音信不通が続いていたけれど、おとといの夜に突然メールがきた。どうやら私とデートをしたいらしく、休みの予定を尋ねられた。

 デートと言っているけれど、もしかしたら結婚式場の下見に連れて行かれるのかもしれない。

 確かこの前、お互いの休みが重なった日に式場を見に行こうと貴利くんが話していたから。

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