エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
「そういえば、お宅の館長さんも入院しているんだって?」
入口に着いて、私が代わりに持っていた本を受け取ると、春子さんは尋ねてきた。
「うん、そうなんだよ。詳しくは知らないけど肺が悪いらしいよ」
「そうなのね。あの館長さんももう歳だから」
春子さんは心配しているけど、副館長の話によると館長の病気は命に係わるものではないらしく、手術の必要もないらしい。病院でしっかりと治療を受けて、回復できたら退院になるそうだ。
「職員を代表して私が今日お見舞いに行くんだよね」
そう告げながら、春子さんの前だというのについ「はぁ……」と深いため息がこぼれてしまった。
「あら千菜ちゃん。あんた、館長さんのお見舞いへ行くのに、そんなため息ついたらダメでしょ」
「違う違う。館長のお見舞いへ行くのはいいんだけど、別に問題があって……」
「何があるの?」
春子さんに尋ねられたけど、「ちょっといろいろとね」とだけ答えて曖昧に濁す。
今朝、館長のお見舞いに誰が行くのかを司書数名で話し合った結果、私が行くことに決まった。