エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
 三雲先生の反応を見ると、私のことを知っているようだ。覚えていないだけで、会ったことがあるのだろうか。いや、こんなにイケメンなら絶対に忘れないと思う。

 でも、私に港町総合病院の医者の知り合いなんて……いた。とても身近に一人いるじゃないか。


「あの、もしかして……」


 そっと声を掛けると、私の疑問に気が付いたのか三雲先生がにこりと笑う。


「俺、郡司の同期。よろしくね、千菜ちゃん」


 やっぱり。貴利くん繋がりで私を知っているんだ。


「そっかそっか。まさか俺の担当患者の梶さんの職場の子が郡司の婚約者の千菜ちゃんだったとは。世間って狭いね~」

「えっ、婚約者ってどういうこと!?  沢木さん結婚するの?」


 三雲先生の独り言のような呟きに、すかさず館長が反応をして声を上げた。


「いえ、違います。結婚しません」


 結婚話は浮上しているけれど、私は納得していないし、まだ何一つ詳しいことは決まっていない。だから結婚については否定したものの、三雲先生が不思議そうに首を傾げている。


「結婚しないの? 郡司は千菜ちゃんと結婚するって張り切ってるよ」


 それは、あの人が一人で突っ走っているだけです。と、心の中で突っ込んで軽くため息をついた。

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