エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
患者の家族とその主治医の先生だろうか。
なぜかそのふたりから目が離せなくなって、こっそりと様子を見ていると、男の子が突然泣き出してしまった。溢れる涙を両手で必死にぬぐっている。
すると、男性医師の手が男の子へとゆっくり伸びて、頭を優しく撫でた。
「大丈夫だ。お父さんの病気は俺が治す。だからそんなに心配するな」
力強い声がロビーに響いて、ハッと気が付く。
この声、聞いたことある……。
後ろ姿でわからなかったけど、もしかして男の子の頭を撫でている男性医師は貴利くんかもしれない。
それを確認するため、男性医師の顔が見える位置へ少し移動するとやっぱりそうだ。貴利くんだ。
私は、ふたりに気づかれない距離を保ちつつ、その様子を見つめる。
ついさっきまで貴利くんに会わないように院内を素早く移動していたはずなのに。その貴利くんを見つけても、なぜかこの場から足が動かない。
今の私は、貴利くんから視線を逸らせない。
だって、泣いている男の子に向けている貴利くんの表情が、私の知っている彼とはあまりにも違うから――。
いつもの無表情が少しだけ和らぎ、穏やかな笑みさえ浮かべている。
貴利くんにもあんなに優しい顔ができると知って、軽く衝撃を受けている。
なぜかそのふたりから目が離せなくなって、こっそりと様子を見ていると、男の子が突然泣き出してしまった。溢れる涙を両手で必死にぬぐっている。
すると、男性医師の手が男の子へとゆっくり伸びて、頭を優しく撫でた。
「大丈夫だ。お父さんの病気は俺が治す。だからそんなに心配するな」
力強い声がロビーに響いて、ハッと気が付く。
この声、聞いたことある……。
後ろ姿でわからなかったけど、もしかして男の子の頭を撫でている男性医師は貴利くんかもしれない。
それを確認するため、男性医師の顔が見える位置へ少し移動するとやっぱりそうだ。貴利くんだ。
私は、ふたりに気づかれない距離を保ちつつ、その様子を見つめる。
ついさっきまで貴利くんに会わないように院内を素早く移動していたはずなのに。その貴利くんを見つけても、なぜかこの場から足が動かない。
今の私は、貴利くんから視線を逸らせない。
だって、泣いている男の子に向けている貴利くんの表情が、私の知っている彼とはあまりにも違うから――。
いつもの無表情が少しだけ和らぎ、穏やかな笑みさえ浮かべている。
貴利くんにもあんなに優しい顔ができると知って、軽く衝撃を受けている。