エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
 吹っ切れたと思っていたのに、どうやら私の心の中にはまだかけるが住み着いているらしい。

 たった一年の交際期間だったけど、平凡顔な私にしては奇跡のようなイケメン彼氏だったからなぁ。あの整った優しい顔つきと癒しのボイスであの日のように私を見つめて、私の名前を呼んでほしい。

 ううっ……かけるに会いたい。

 元彼を思い出してしゅんと落ち込んでいる私の頭を撫でながら玉蔵が「よしよし可愛そうに。パパの胸に飛び込んでおいで」なんて言っているから、その言動が気持ち悪くて涙が引っ込んだ。

 確かに、かけるのことはまだまだきれいさっぱり忘れられない。でも、だからといって男性不信にはなっていない。母が勝手にそう思い込んでいるだけだ。

 そんなことよりも結婚ってどいうこと?

 調子に乗っていつまでも私の頭を撫でている玉蔵の手を振り払うとキッと睨む。


『それで、私がかけると別れたことと結婚がどう関係あるの』


 そう問い詰めると、玉蔵は振り払われた手を切なそうに見つめながら口を開く。

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