蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜






フワリと意識が浮上する

急速にクリアになる頭は身体中の痺れを呼び覚ました


「ぁぁぁっっ、んっ」


覆い被さるように両脇に手をついて
刺激を送り込んでくる大ちゃんからは


ゾクリと震えがくるような色香が漂っている


甘く吠えるしかできない口からは
熱い吐息しか溢れてこない


何度意識を失っても許してもらえない「約束」は


いつ終わったのか


深い眠りに落ちた私は



知らない







□□□







「(大ちゃん)」


トイレに行きたいと浮上した意識なのに

身体は大ちゃんの長い手足が絡まっていて動けない


スースーと寝息を立てる大ちゃんに声を掛けてみたのに

出たのは掠れた息だった


それでも諦めきれないそれに
何度か大ちゃんを揺すってみると


「・・・ん、れん」


「(大ちゃんトイレ)」


「・・・・・・ん?」


やっと目蓋を開けてくれた


そして口の動きで察してくれた大ちゃんは
眠そうなまま私を抱き上げた


「・・・っ」


一人で行けると伝えたいのに
声を上げることもできず

結局トイレの前で下ろされた私は
そのまま床へと崩れ落ちた


「・・・っ」


「蓮、大丈夫かっ」


焦った大ちゃんに引き上げられて立ったものの
足にも腰にも全く力が入らなくて

何度か押し問答をしたけれど
結局便座まで座らせてもらうことになってしまった


・・・恥ずかしい


・・・じゃなくて


大ちゃんの所為じゃない?
トイレまで付き添いとか

ありえないよね?


そう腹を立ててみたものの


結局、動けない私は


何故か上機嫌の大ちゃんに抱っこされたまま一日を過ごすことになった


・・・・・・って


起きたのは学園祭の翌朝よ?



色々・・・信じられないっ










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