蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜


「若に断りを」


そう言って外へ出た大吾さんの背を見送りながら


「まるちぃって案外大物よね」


優羽ちゃんはホッとしたようにソファに背を預けた


「「「同感」」」


「・・・?」


うんうんと頷く様子をまるちぃは「私?」なんてケラケラ笑っていて

本当に大物だと思った


バタンと扉の音がして帰ってきた大吾さんの後ろには大ちゃんがいた


「・・・」


ビーチバレーをしていたはずなのに
パーカーを羽織っていて


着替えたのかと視線を移せば
まだ水着を着たままだった


「抜けてきてくれたの?」


「あぁ」


そう言ってフワリと笑う大ちゃんに胸がドキドキ煩くなって

ソファから立ち上がると駆け寄った


「どうしたの?」


「ありがとう、大ちゃん」


近づいた所為で見上げるしかない身長差
ファスナーを途中で止めているから綺麗な腹筋も少し見えて更に顔に熱が集まった


「「「「ご馳走様〜」」」」


背後から聞こえた揶揄いの声に
赤い顔を隠すように大ちゃんの胸に顔を埋めた


「・・・蓮」


今は顔は上げられない
イヤイヤをするように顔を隠したまま左右に振ると


「我慢、我慢」


誰へ向けての言葉なのか理解不能な大ちゃんの呟きが聞こえた


「さぁ、行こうよ」


すぐ後ろで聞こえた声に弾かれるように大ちゃんから離れる


すぐに手を繋いでくれた大ちゃんと灼熱の外へと足を進めた







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