蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜



バタバタと音が近付いて
部屋のロックが解除されると蓮が飛び込んできた


背を向けた俺に抱き着いた蓮は


「私が悪いのっ、大ちゃんごめんね?」


優羽の言ったことを間に受けて謝ってきた


「だから・・・泣かないで?」


・・・やべぇ、可愛い

ウッカリすると身体を捻って蓮を抱きしめたくなるのを堪える


「大ちゃん。ごめんね」


背後から回った蓮の手に俺の手を重ねる

小さな手も全て愛おしい

その気持ちと裏腹に蓮の口から
俺を想って妬いたと言わせたい
そんな気持ちが口を開かせた


「どうして蓮が謝るの?」


「・・・あの、ね?」


「うん」


「ヤ、キモチ。妬いてしまったの
大ちゃんが・・・その、ルリさんって人と親密そうに話してるの聞いて
胸が焼けそうだったの・・・
それで、大ちゃんの手を払ってしまって
・・・顔も見ないし、お喋りもしなかった
でも、大ちゃんを泣かせようなんて思ってなかったの
全部私の我儘身勝手・・・ごめんね?」



あぁ、なんて甘美な告白だろうか
我慢出来なくて反転した勢いのまま
蓮を腕の中に閉じ込めた


「・・・っ」


「ゆ、るし、て、あ、げ、る」


嬉しくて堪らない気持ちが
言葉を途切れさせ
競り上がってくる喜びを抑えるために唇を噛んだ


そんな俺を窮屈な腕の中から見上げる蓮は


「・・・大、ちゃん?」


僅かに首を傾けて真意を測っているよう


その姿も愛おしくて


「愛してるよ、蓮
ヤキモチ妬いてくれてありがとう」


少し開いた桃色の唇に自分の唇を強引に重ねた



「・・・んっ・・・っ・・・ん」





蓮の身体から放たれる甘い甘い匂いに


狂ったように溺れる


甘くて・・・痺れるそれに


瞬時に雄の本能が呼び起こされるけれど


海から上がったままだと思い出した



・・・クソ


散々翻弄したそれは蓮の身体から力を奪ったようで


抱き上げて寝室のベッドに寝かせると
オデコにひとつ口付けてバスルームに飛び込んだ





side out














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