蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜



呼吸もままならないほどの口付けに
身体中の力が抜けてしまった


・・・許してくれたんだよ、ね?


正確には泣いているか分からなかった

その後の大ちゃんは笑っているみたいにも思えたけれど

甘いキスに流されて

結局なにも分からないままだ


手足の感覚が戻ったから
皆んなのところへ戻ろうと身体を起こすと


「何処へ行くの?」


大ちゃんの声が聞こえた


「ん?・・・あっ」


振り返った途端に見えた腰にバスタオルを巻いただけの
恐ろしく色気を放つ大ちゃんを直視出来なくて逸らす


クスッと笑った大ちゃんは


ギシッとベッドのスプリングを軋ませて座ると

長い指で頬に触れた


「・・・っ」


「すぐ赤くなって」


「・・・」


「蓮は可愛いね」


「・・・っ」


その長い指が唇に触れて
ゆっくりと輪郭をなぞる


ただそれだけで


身体中の神経がそこに集まったかのように敏感になって


戻っていたはずの呼吸が浅く乱れてくる


「ヤキモチ・・・妬いてくれたの
凄く嬉しかったよ」


「・・・っ」


「でもね?心配しなくて良いよ
蓮以外見えてないからね」


「・・・」


「蓮もそうだよね?」


コクコクと頷くと


「良い子だ」


大ちゃんは酷く妖艶に微笑んで


「・・・っ」


次の瞬間には背中がシーツについていた




「蓮、愛してるよ」




口付けの合間に聞こえた声



「私も」そう紡いだはずの答えは
大ちゃんの唇の中へ消えた







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