蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜



「・・・ん、蓮」


身体の揺れに目蓋を開くと
直ぐ間近に大ちゃんの顔が見えた


「おはよう、大ちゃん」


「おはよう、蓮」


そういえば・・・
宴会の途中で寝てしまった気がする


「昨日・・・」


「大丈夫だよ。蓮は眠い病ってことにしたからね」


クスクス笑う大ちゃん


「ずっと眠いのかな?」


学校もあるし。家のことだって気になるから
ずっとこんな調子だと困る


「一過性のものだって橘院長も言ってたし
明日検診して貰った時に詳しく聞いてみよう」


「うん」


大ちゃんはいつもちゃんと答えをくれるから頼りになる


「誠さんも昨日泊まったから
今日は婚姻届にサインして貰う予定」


「そうなの?」


「そうだよ?ちゃんと入籍して
母子手帳貰って。赤ちゃんを迎える準備をしないとね」


「うん」


不安に思っていたことも
サラリと言ってのける大ちゃんに
ありがとうの意味を込めて頬にキスしようとしたけれど・・・


「・・・ん?どうした?蓮」


片肘をついて頭を浮かせた大ちゃんの顔に近づくには

私も上体を起こす訳で・・・

それには腹筋も使うから

お腹の赤ちゃんが・・・苦しくないかな?


「フフ、それも聞いてみようか
ひとまず、ほら」


そう言って私の唇の前に顔を近づけた大ちゃんに

チュッと口付けをしたけれど・・・


「え?」


まだ・・・なにも


「声に出てるからね、蓮」



脳内お喋りが漏れるという失態は
クスクスとまた笑われて終わった







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