蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜



ーーーーー火曜日



いつものように登校したけれど
教室へは行けず

女子三人にそのまま第二保健室へと連行された

昨日の月曜日は『病院へ行くので休みます』ってメッセージを送ったままだったから

返事を待っていてくれたはず


「「「で?」」」


琴ちゃんと優羽ちゃんと瑛美ちゃんに見つめられて


ブレザーのポケットから取り出した紙を渡した


「「「・・・」」」


暫しの絶句


そして


「・・・蓮?」


「・・・このそら豆みたいなの」


「・・・もしかして」


「そのもしかしてだよ?」


「「「キャァァァァァ」」」


エコー写真を見つめて
三人揃っての絶叫に
今度は私が固まった


「「「おめでとう」」」


「ありがとう」


「予定日は?」


「六月の十日頃、かな」


「それって」


優羽ちゃんが顔を上げた


「ごめんね、琴ちゃん
多分。参加できないと思うの」


「残念だけど。蓮の身体が一番だから
落ち着いたら写真でも見てくれる?」


「うん。もちろんだよ」


六月に予定している理樹さんと琴ちゃんの結婚の披露目は
既に招待状が配布されている

そのお披露目に出席はしないけれど
新居で仲間だけのパーティーをすることになっていた

それも

出産と重なったらお祝いに行くことが出来ない


「大ちゃんにカメラマンお願いするからね」


「え〜嬉しい。蓮、ありがとう」


「ちょっと、今気付いたんだけどっ」


突然声を上げた優羽ちゃんは
立ち上がると


「まるちぃも蓮以上に欠伸してたよね?」


「「「っ!」」」


珍しい症状が近くで重なるなんて確率的に凄いけれど
全く無いとは言えない


亜樹とベッドに座ってコーヒーを飲んでいる大ちゃんに視線を向けると


ひとつ頷いてスマートフォンを取り出した



・・・まるちぃも同じだったら心強いなぁ



そう呟いた私の願いが叶うのは一時間後


どうしてかって?
慌てた永遠がドラッグストアへ検査薬を買いに走って

その結果が知らされるまでの時間ね




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