蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜



「・・・」



もしかして告白されたの?


どこかボンヤリとした頭は
理解力を鈍くする



「勘違いで暴走した上に
理由も言わずに東美に逃げたんだもんな」


「・・・・・・っっ」


もしかしなくても責められてるよね?


「昨日、真相を聞くまでの六年間
俺は自分を責め続けたんだ」


「・・・ごめん、なさい」


「だから」
と区切った大ちゃんはニッコリと笑って


「謝らなくていい
その代わり、死ぬまで俺のそばにいて
償ってもらうからな」


その笑顔からは想像できない言葉を放った


「・・・・・・え?」


どう言うことだろう
益々鈍くなる思考回路を遮断するように


「蓮、愛してる」


離れて座っていた大ちゃんの気配を
間近で感じた途端、囁かれた言葉に目を見開く


その目が捉えたのは


色香が漂う双眸に捕らえられた自分の顔だった



「・・・・・・ん、・・・っ」


唇に温かな感触がして

それが大ちゃんの唇だと認識した時には


「蓮、口開けろ」


逃げ道は塞がれていて


「・・・ぁ、っ・・・んっ」


初めての口付けに
パニックに陥った時には

呼吸もままならないほど翻弄された後で・・・


解放された身体からは力が抜けていた


「蓮」


「・・・」


「もう離さないから覚悟しろよ」


頭を撫でる手が大きくて温かなことも


「“大”って呼べ」


私だけの特別な呼び方も


「明日にでも入籍するか」


『おやくそく』が有効なことも



全部嬉しくて


「大ちゃん」


「大、でいい」


「大」


「ん?」


「・・・・・・ね、むい」



安心しきって意識を手放した





□□□




そんな私を


クスッと笑った大が頭を撫で続けてくれたことも


「また明日な」


オデコに口付けたことも




知らない







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