蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜


「それにしても、琴ちゃんも
優羽ちゃんも、千色さんも
もの凄い可愛いね」


どう見ても視線が合っていないから
全て盗撮のような写真は

芸能人の隠し撮りかと思うような
美人揃いでドキドキする


「蓮には負けるけどね」


どこまでも甘い大ちゃんは
やっぱり私を喜ばせる天才だと思う


「あんまり他所では言わないで」


「どうして?」


「お世辞だけど嬉しいから
調子に乗っちゃう」


「ハァ、蓮は、まったく」


やっぱりため息を吐いて
頭をガシガシと掻いた


「大ちゃん、大丈夫?」


「大丈夫だよ。逆に俺は蓮の頭の中が心配だよ」


「・・・え?」


噛み合わない話に最後は二人で笑って
この話は終わった


「で、蓮が気にしてたカリキュラムの話だけどね」


「うん」


「東白でも同じようなもんなんだ
一クラスだけある進学クラス以外は
定期考査もないし、授業もほぼ自習だから
何も心配しなくて大丈夫だからね」


「そうなんだ、それなら安心」


「それに俺たちはほぼほぼ
第二保健室に居るからね」


「琴ちゃんの為に出来たっていう?」


「そう、その通り、もう既に蓮の指紋も登録してるからいつでも入れるよ」


「・・・」


登録したつもりもないのに
指紋が登録されているって


これは・・・


一種のホラーよね?




□□□




予習が終わるとまたバルコニーへと出てダム湖を眺めた


「見てるだけでいいね」


穏やかな時間もいいなと思ったところで


「俺も、そう思うよ
じゃあ、蓮は少しお昼寝タイムね
起きたら夕方からは此処でバーベキューするから」


大ちゃんに手を引かれて
二階のベッドルームまで強制連行された


「蓮が思うより身体は疲れているはずだからね」


眠くないと思っていたのに


大ちゃんの大きな手が頭を撫でるだけで


あっという間に微睡みの中に落ちた



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