蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜



「次は永遠の話ね」


「始まりは去年の春休みの話でさ」


二年生へ進級するタイミングで
入学する一年生がNightに入りたいと押しかけてきて

選別やら手合わせやらで
溜まったストレスを発散させるために繁華街へ飲みに出かけた先での話

たまたま永遠が開けた個室のドアから壁伝いに歩いていた千色さんが飛び込んだことから始まって

瑞歩さんが情報を隠していたから
捜索は難航、漸く見つけた時には

実は永遠の家が治める三ノ組傘下の娘だったこと

東白の保健師さんだったこと

生まれながらの許婚を解いたことへと移り

千色さんの家が取り潰されて破門、追放までと

ドラマのような展開に胸がドキドキする


「千色さんだけ写真が二枚なのは変装してるからなのね?」


「そうだよ、元々変装してたんだけど
永遠は見破ってたし、レーシック手術をした後も他の牽制の為に地味で居させるって
独占欲の塊みたいなんだ」


「なんだか意外だよね、永遠は
幼稚園の頃からどこか冷めた風だったから」


「帰りたい場所が出来たって」


「永遠が言ったの?」


「あぁ、永遠もだけど、亜樹も
本当、人間らしくなったよ」


「六年で皆んな変わったんだね」


「変わったんじゃなくて成長したんだと思うよ」


「そっか。私もこの輪の中に入れるかな?」


「入れるよ」


「友達が作れるように頑張らなきゃ」


「そうだな」



相関図を見ながらの時間は
大ちゃんの優しさがいっぱい詰まっていて


不安しかなかった気持ちが
終わる頃には変わっていた





< 79 / 160 >

この作品をシェア

pagetop