蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜


朝のHRが終わると
琴ちゃんと優羽ちゃんが亜樹のところで何やら揉めている

小声で話す三人の声は聞こえないけれど

詰め寄る二人と渋い顔をする亜樹って感じ


「蓮、大丈夫?」


後ろの席から何度も心配してくれる大ちゃんに応えるために

永遠の方へ向けて座った


「うん、大丈夫だよ」


「そっか」
必ず頭も撫でられるから

そんなもんだと思っていたけれど


「人格崩壊じゃない?」


突然振り返った優羽ちゃんは
大ちゃんへひと言そう言うと

また亜樹へと向き直った


「優羽に賛成」


そのひと言に乗っかったのは
僅かに口角を上げた永遠で


「人格崩壊って?」


よく分からないそれを質問したのに


「大和には普段高い壁があるからな」


もう一つ分からないことを増やしただけだった


「蓮は知らなくて良いよ」


大ちゃんにそう言われると
それ以上聞けないから残念だけど

それならそれでいいかとも思うから不思議


「「やったー」」


琴ちゃんと優羽ちゃんから声が上がって
驚きで視線を向ければ


「蓮ちゃん!行こう!」


琴ちゃんに手を取られてグイグイと引かれる

何のことか分からないうちに


「瑛美、行くよ〜」


優羽ちゃんは瑛美ちゃんも誘いだし


手を引かれたまま後ろを振り返ると
渋い顔の大ちゃんと亜樹
クスクスと笑って席を立った永遠が見えた


「・・・どこへ?」


「「「生徒会室〜」」」


見事にハモった声と


「お供いたします」


着いてきてくれるのか
永遠がポケットに手を突っ込んだまま近付いた






< 90 / 160 >

この作品をシェア

pagetop