蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜
はじめての女子会

まだ校内も把握していないのに
早々に連れてこられたのは

【生徒会室】とタグのついた部屋の先にある

生徒会長しか入れない【奥の間】と呼ばれる鍵の付いた部屋だった

永遠は此処まで付き添ってくれて

「鍵、閉めとけよ」

と言い残して
そのまま何処かへと行ってしまった


「蓮ちゃんもお昼には“まるちぃ”の所へ連れて行ってあげるからね」


そう言った琴ちゃんは
やっぱり可愛くて


よく分からないけれど


「はい」


いいお返事ができた


「アイスティーにしましょう」


苺模様の可愛いコップが並んだ奥の間は

はじめての女子会にはぴったりの狭さで

嬉しくて・・・嬉しくて・・・
涙が溢れ落ちた


「ちょ、どうしたの?蓮ちゃん」

「どっか痛い?」

「まるちぃ呼ぶ?」


目の前の三人は焦った顔で声を掛けてくれるのに

溢れる涙は止まってくれなくて


「ごめん、なさい」


落ち着くまで謝ることしかできなかった



□□□



「で、蓮ちゃん・・・てか
もう“ちゃん”いらなくない?」


優羽ちゃんに顔を覗き込まれて
コクコクと頷いた


涙の理由を話したら
東白に入学してから
三人とも同じ経験をしてきたようで

急に距離が縮まった


二人が亜樹に詰め寄っていたのは
私を此処へ連れてきて
女子会をしたいというお願いだったらしい

なんだか全部嬉しくて


やっぱり気付くと涙が溜まってくる


「大和に叱られちゃうじゃない」


専ら優羽ちゃんしか男子のことを強くは言わないけれど


大ちゃんとの予習では分からなかった部分が埋められていく


そうやって・・・
転校初日から三人もお友達ができた私は

緊張感なんて何処へ行ったやら


楽しいひとときを過ごすことになった




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