蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜


「は〜?何言ってんの?」


「関係なくないじゃ〜ん」


「飛んで火にいる馬鹿女〜確保」


よく見れば同じような明るい髪色に制服の胸元を大きく開けた女子は三人もいて

その強い口調に肩が跳ねる


「最近大和様の周りをウロチョロして
目障りったらありゃしない」


「私たちなんて引退した所為で幹部達に近づくことすら出来なくなったのに、アンタ何様?」


そう言うと近づいてきた一人に上靴で肩を蹴られた


「キャァァ」


その勢いのまま背後の壁に背中を打つけてしまった


「・・・ゔっ」


治っていたはずの背中
同じ部分への衝撃に息が苦しくて動けなくなった


「あ、あんた達、こんなことして
ただじゃ済まないからねっ」


倒れた私を起こしてくれる瑛美ちゃんは
私を庇うように膝立ちをして前で手を広げてくれた


大丈夫と言いたい口は開いてくれなくて

それより


「テメー庇ってんじゃねーよ」


「Nightの金魚のフンが」


三人の怒りをかってしまった瑛美ちゃんは

両手を広げたまま蹴られ続けている


「・・・・・・や、めて」


助けて・・・大ちゃん


叫びたい声も出てこない私は
やられ続ける瑛美ちゃんを見ているだけしか出来なくて


自分の不甲斐なさに涙が溢れる


それに気づいた三人は


「泣きゃいいと思いやがって」


その鉾先を私へと変えた


「こいつはさ、顔を殴ってないけど
この女は見せしめでやっとく?」


「ハーフなのに日本語しか喋れないらしいじゃん」


「バカなブスは痣くらいあったほうが
チャームポイントになるんじゃない?」


ガハハと大きな口で笑う三人を見ているだけで身体が震える


瑛美ちゃんの隠す青痣はこの三人がつけたこと

そして・・・

どうやら私は顔を殴られるみたいだってことが理解できた


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