無名ファイル1
「月乃、さっきはありがとな。」
「…っお疲れ様!!生徒代表~」
隣の席に座ったのはそう、夏夜君だ。
彼はあたしが麗菜ちゃんといるのを見て、
ほっとしたように微笑んだ。
「同じクラスで良かったな、よろしく。」
「よろしく!あ、この子麗菜!!」
麗菜ちゃんは会釈をすると、
逃げるようにあたし達から離れた…。
「…嫌われた?」
「いいや、彼女は人見知りなのさっ」
あ、麗菜の連絡先…ま、後で聞くか…。
『では帰りのHRを始める!席つけ!!』
結局あたしは帰りのHRが終わると同時に、
先生に連れられて職員室へ向かった。
「うへぇ…先生達の視線が痛いぃ~。」
「当たり前だ、初日からそんな髪色!」
先生は椅子に腰を掛けると溜息をつく。
あたしは思わずクスっと笑った。
「何がおかしい!!…っ!?」
先生は立てない…まぁ、有名だよね。
額を指先で抑えるだけで立てないの。
「まぁまぁ、そう焦りなさんなって…」
魅香の顔からはスッと笑顔が消え去る。
担任はビクリと肩を震わせ硬直した。
まさに蛇に睨まれた蛙のように。
「私、受験生の時から銀髪でしたよ?」