無名ファイル1
サドは私から視線を逸らさずに、
つらつらと話をしていた…。
「最後に…舌にピアスをつけた生徒、
放課後、音楽準備室に来てください。
では、僕からの挨拶は以上です。」
周囲がざわつく…当たり前だ。
舌のピアスをつけた生徒を、
挨拶の時点でマークしてるとか…。
先生達ですら顔を引きつらせてる。
いいぞ、その調子でクビになれ!!
「あの人…教師だったんだな。」
「…え?」
HRが終わり、人のいない教室。
蛍の声が妙に大きく聞こえた…。
「すれ違った男、気にしてただろう?」
「あぁー、うん…。」
私はスクールバッグを肩にかけて、
持ち手をぎゅっと握りしめた。
「今日、用事あるから一緒に帰れない。
ごめんね…また今度一緒に帰ろう!」
「待って、舌…見せて。」
教室を出ようとした私の手首を掴む蛍。
心臓がバクバクと音をたてる…。
振り返ることができずにただ固まる。
「…何、あの教師には見せられて、
俺には見せられないってことか?」
「ちがっ、なんで…?」
蛍は呆れたように笑った。
「動揺しすぎ、馬鹿にしてるのか?
気が付かないわけがないだろう。」