無名ファイル1

やっと温まってきた教室…。

麗菜はまだコートを脱ぐ様子はない。

「テストが終わったらクリスマス、
大晦日、正月…イベント尽くめね。」

マフラーに埋もれた麗菜の口から、

浮足立ったイベントの話が出るとは。

「イベント、何する予定?」

「はぁ?クリスマスはバイトして、
大晦日から正月は執筆活動中よ。」

話を振っておいて地雷なんかい!!

「ワタクシは親戚で集まって、
パーティーをする予定デース!!」

片っ端からお年玉を要求するのが、

毎年の楽しみなのだそうだ。

エミリアみたいな可愛い親戚いたら、

全財産渡してしまいそう…。

「で、魅香は?」

「え、私…?うぅーん…」

そういえば…今年、どうしよう。

あまり深く考えてなかったな。

「オーストリアに行くかも。
でも最近は仕事も忙しいから、
まだ予定は決まってない…」

仕事というのは歌手の仕事。

結局文化祭の一件から、

再び音楽活動を再開した。

サドにはやっぱり裏切ったね。

…なんて小言も言われたけれど。

「なんだか生き生きしてるわね。」

「うん、今が一番幸せだもん」

今が一番私らしいんだから。
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