無名ファイル1

「俺の好き?」

「え?好きだよ!!」

虚ろな目のまま、ふぅんと言った。

私にはそれが少し寂しそうに見えた。

「急にどうしたの?」

「…俺、ばっかり………あ”ッ!!」

虚ろだった目のピントがあった瞬間、

ガバッと体を起こして慌てだした。

「いや、ちが、うっ…気分が…。」

「え!?大丈夫!?」

今日の蛍はいつもよりも素直で、

表情が豊か…顔色がコロコロ変わる。

「蛍…落ち着いた?」

「…悪い、変なことを言った。
てか、なんでここにいるんだ?」

完全に正気に戻った蛍が問う。

「心配でお見舞いに来たの。
あと…私は蛍のこと好きだよ?」

「…心配かけて悪かった。
今日はもう帰ってくれ…。」

蛍は私に背を向けて寝ころんだ。

「”好き”って言われなれてる蛍は、
私の言葉の裏の感情にきっと気づく。
怖いよ、嫌われたくないもん…」

「…嫌わない、もっと言って欲しい。
どんな魅香の感情も…俺は嬉しいし、
愛おしいと…思う、好きだから。」

小さく丸まった背中が一生懸命、

気持ちを伝えてくれている…。

「蛍…ありがとう、大好きだよ。
…ま、またね!お大事に!!」
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